カタログ20号(お届け日;8月15日~8月20日)で案内している青果・米の産地の様子をお届けします。
雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ・・
6月以降大雨や風が続き、このところ青果の欠配が増えて、皆さんにご迷惑をおかけしています。
雨や風がどんな被害をもたらし、生産者がどんな準備をしているのか、御岳会の取り組みを例に報告します。
レタス畑その1 ・・・御岳会
ここは標高500メートルの高冷地、熊本の阿蘇の南側に位置する御岳会の飯星さんのレタス畑、マルチを張って穴を開け、そこに紙製のポットを植えています。でも、ところどころレタスが植わっていないのが分かりますか?これ、植えた直後に風に飛ばされたんだそうです。
そしてこちらは出荷直前のレタス・・・飯星さんの息子さんです。
レタスは順調に育っていますが、畝と畝の間の溝が浅い・・・大雨で上の畑から流れ込んだ土砂で溝が埋まったのだそうです。
「ここは横に広い土地なんです。だから普通なら横向きに畝を作るんです。その方が畝の数が少なくて作業が楽ですから。でも横向きだと上の畑から流れてきた雨水が畝の間に溜まってしまい、作物はダメになってしまいます。縦向きだと雨水は溝に沿って下に流れ落ちていきます。この辺りは黒い土なので雨に流されやすいということを知っているから、手間はかかってもこうしているんです。」
おかげでこの畑のレタスは無事に育ち、出荷できるまでに育ちました。飯星さんがこの工夫をしていなければ、この畑は全滅していたかもしれません。
なるほど起こりうる災害に対してこういう準備の仕方もあるんだな、と納得しました。
どこかの電力会社に聞かせたいですね。
レタス畑その2 ・・・御岳会
6月10日の大雨で村山さんの上のレタス畑が崩れ、下のレタス畑に土砂が流れ込んでしまいました。上の畑は大丈夫だったものの下の畑は冠水してしまいました。
わずかに残った下の畑のレタスとサニーレタス、ちょっと見ると大丈夫のように見えますが・・・。
「よく見てください。レタスの外葉が傷んでいるでしょ。レタスは外葉が大切です。この状態では出荷できません。雨の直後は元気だったそうですが、時間がたつにつれ外葉が枯れてきて・・・持ち直すかもしれないと思って様子を見ていたのですが、やっぱりだめでした。本来なら今週か来週の出荷だったんですが・・・1時間に70ミリとはいえ、たった3時間の雨でこれですもんね。」と村山さん。
こちらは小松菜のハウス ・・・御岳会
こちらは堀さんの小松菜のハウス。
左は順調に成長した小松菜、来週出荷予定とのこと。右は左のハウスの2日後に播種した小松菜。このハウス、隣同士なんです。
「右のハウスは、大雨で水に浸かってしまったことは確かです。雨のせいで小松菜が弱り、虫にやられたのかもしれません。」と堀さん。
「今年の梅雨はさんざんでした。梅雨はあけたが梅雨の後遺症はまだ続いています。お届けできないこともあったりします。でもそんなリスクを抱えても、私たちは農薬を使わずにがんばります。私たちの努力を分かってください。」と堀さん。
レタス畑その3 ・・・御岳会
田上さんのレタス畑におじゃますると・・・畑一面、青と白のネットです。
レタスは暑さに弱いんです。だから光をさえぎって温度を下げてやろうと・・・。それから虫除け。雨の時はビニールをして雨除けをしようと思っています。」
ネットの色の違いによる遮光の効果、網の目の大きさの違いによる風の通りや防虫効果など、研究課題は多そうです。
「このリーフレタスはあと1週間で出荷できると思います。これから心配なのは虫と雨ですね、防虫ネットは効果があると思います。」
「御岳会のメンバーは大半が有機JAS認証を受けています。日頃からこうした研究や工夫を積み重ねているんですよ。それで成功することもあれば、失敗することだってあります。去年うまくいったからといって今年もうまく行くとは限らない。試行錯誤の連続です。」と田上さん。
御岳会は阿蘇の南側、標高400メートル~600メートルの高地にあり、夏場の葉もの野菜を多く作っている産地です。
高冷地の特色を生かした野菜作りですが、一方で台風や雨の影響を受けやすく、安定した生産・出荷のむつかしさを痛感させられました。
最後に・・・・
堀さんのハウスで見つけた・・・尺取虫と穴の開いた小松菜の葉っぱです。もちろん、無農薬です。